続・祈りのいらない世界で

「カンナぁ!カゼぇ!ケ―ン!」



キヨが3人の名前を呼ぶと3人は振り向いた。




「………イノリ、速いね」

「何でキヨをおんぶしながら、そんなに早く走れるのよ」

「ぎゃーっ!イノリ狡い!!俺がキヨおんぶしたかった」



騒ぐ3人を抜かして先頭を走るイノリ。


キヨが後ろを振り向くと、カンナとカゼとケンは笑いながら走っていた。



それを見て嬉しくなったキヨが笑うと、イノリも笑い出す。







楽しい、嬉しい、幸せ。


それを感じる事が出来たのは、みんながいたから。




悲しくても大丈夫。
寂しくても大丈夫。

泣けば愛してもらえる。



そう思えたのは
この背中があったから。






イノリの背中を見つける事で追う事で、求める事で

私は成り立っていたんだ。




だから
好きだと思った。

大切にしたいと思った。




でも、気付いたんだ。


本当はね、……………。













「もう4日か。このままキヨの目が覚めなかったらどうしよう…」


「ケンは縁起でもない事言わないの!キヨがイノリを残したまま、どっかに行っちゃうワケがない」


「あはは!カンナとカゼは似てるなぁ。カゼが生きてたらきっと、同じこと言うよ」



笑うケンをカンナは遠慮がちに見つめた。