続・祈りのいらない世界で

『上京したばかりのキヨは少しおかしい。何かあったのかな?』



『今日イノリがキヨを置いて出て行った。

イノリが苦しんでいるのはわかるけど、キヨはイノリがいなきゃ生きていけないんだよ?

俺は何が出来るかな』



『キヨが自殺しようとした。手首に深い傷が刻まれていた。

小さい頃から注射や痛い事が大嫌いだったキヨの事だから、痛かったし苦しかっただろうな。


イノリ、キヨにはイノリしかいないんだよ?』



『キヨが妊娠した。俺のせいでキヨを苦しめる事になった。

でも俺はキヨに産んで欲しい。

5人の関係が切れてしまっても、誰かを裏切り、悲しませる事になっても俺はキヨを守りたい。

キヨと子どもを愛したいと思ったんだよ』



『キヨが流産してしまった。でもこれでよかった。

キヨはイノリとの子どもしか望んでいない。

それをわかってて俺はキヨに産んでと頼んだ。


キヨは優しいから頷いてくれたけど、本当は産みたくなんかなかったよね。



キヨが俺の償いはカンナといる事だって言ってくれたの嬉しかったよ。キヨは傷付いてまで、俺の幸せを考えてくれてるんだって思ったから。

うん。カンナを一生大切にするよ』



『キヨとケンが結ばれそう。

2人共幸せそうだけど、俺はイノリとキヨが結ばれて欲しかったな。…ケンごめん。


俺はカンナといい感じ。カンナはスッピンの方が可愛いのに、なんで化粧するんだろう…』



『ケンのライブの後、久しぶりにイノリに会った。

キヨとイノリはぎこちなかったけど、やっぱり2人が一緒にいるのを見てるのが好きだと思った。


イノリは今、何を思っているの?まだキヨが好き?』




カゼの日記は中盤頃からキヨの事ばかり書かれていた。



長年想いを寄せていた美咲の事より、彼女であるカンナの事より


キヨの話ばかりだった。





どれだけカゼがキヨを心配し、見守っていてくれたかがよくわかる日記。