続・祈りのいらない世界で

「決めた!俺、最初に作る曲はキヨへのラブソングを書く!」

「本当に?私の恋心を歌にしてくれるの?」



何故そう取ったと思ったケンだが

「約束だからね」

と小指を絡めてくるキヨを見て、それでもいいかと思った。




「………熱愛発覚?」

「うわっ!?カゼ?お前、ドラム叩いてイノリに怒鳴られてなかった?」

「………うん。だからメトロノーム見て拗ねてたら眠くなった」

「よく分からないけど」



キヨとケン、カゼが話しているとイノリとカンナもやって来た。




「どれにするか決めたのか?」

「それが中々決まらなくてさ」

「じゃあみんなでせーので指さそうよ」



キヨが『せーの』と声を掛けると、5人は同じギターを指差した。




「わっ!!私達が合うって珍しい」

「………奇跡」



5人が選んだのは極普通のギター。

値段もお手頃価格。



中学2年生の時買ったこのギターは、ケンの一生の相棒になる。






「キヨ、曲出来たよ」



中学を卒業し、高校入学を待つ春休みのこと。


ギターケースを抱えたケンがキヨの家にやって来た。




「本当に作ってくれたの?」

「うん♪ちゃんとラブソングだよ」



ケンはギターを手に取り弦を調整すると、ギターを奏でながら優しく歌い始めた。