続・祈りのいらない世界で

「ピアノはもうおしまい。俺んち行こっか」

「うん!」



キヨはケンと共にケンの家へと向かった。




ケンの部屋はエレクトーンやヘッドフォン、大量のCDが至る所に散乱している。




「ケン、部屋汚い…」

「いーの、部屋が汚いからって死ぬワケじゃないし」

「そういう問題かなぁ?」



ケンは散乱している色んな物を脇に退けると出来たスペースに座った。

キヨも横に座る。




「そうだケン、ギターのお金貯まりそう?」

「うん!あともうちょっとで目標金額貯まりそうだよ」



それから少し経った頃。

キヨ・イノリ・カゼ・カンナ、そしてケンの5人は電車を乗り継いで地元で一番大きなデパートにやってきた。




「わぁ…。色んな楽器があるね。すごーい」



色んな種類の楽器が置いてあるコーナーで、5人はそれぞれ楽器を触って遊んでいた。



「カゼ!!店内でドラム叩くな!」

「………折角だから」

「うるせぇんだよ!!」



店内の隅にあるドラムを拳で叩いているカゼに、耳を押さえながら怒鳴るイノリ。


その声を聞きながら、キヨはギターを眺めているケンを見つめていた。



「ケン、どれにするの?」

「うーん…。いっぱいあるから迷っちゃうね」



やっと目標金額が溜まったケンは、購入するギターを選んでいた。



ケンは何本もギターを手に取っては、弦を弾いたり外装を細かくチェックしている。



「こうして見てるとケン、本物のミュージシャンみたいね」

「え?マジ!?やっぱ?」



キヨの言葉に気分を良くしたケンは、ジャーンとギターを弾くとポーズを取った。


キヨは笑いながら拍手をする。