「…そういや俺、結局キヨに『愛してる』って一度も伝えられなかったなぁ。…歌まで作ったのに」
「…歌?」
「忘れちゃった?」
キヨはある思い出を思い出した。
それは確か、小学5年か6年生くらいの頃。
昔から頭は弱いクセに、音楽だけはズバ抜けて出来るケンは絶対音感があり、どんな曲でも一回聴けば楽譜を見ないでもピアノで弾けてしまう。
その日もキヨの家でケンはピアノを弾いていた。
「わぁ、ケン。凄い上手」
「でしょでしょ♪でも俺、ピアノじゃなくてギターが弾きたいな」
「ギター?持ってないの?」
「うん。親は勉強しろの一点張りでピアノさえ買ってくれないし、お小遣いも全然足りないからね」
キヨはしょんぼりするケンに、自分の貯金箱を持ってくると振って中身を落とした。
キヨの全財産は500円ちょっと。
まだ小学生のキヨ達のお小遣いなど、かき集めてもギター一本買えない。
「ごめんね、ケン。足しにもならないや」
「大丈夫。ありがとうキヨ。俺、頑張って貯めるから」
それからケンは、漫画やCDなど欲しい物を我慢してコツコツとお小遣いを貯め始めた。
中学生になったある日。
貯金箱の中身を数えているケンのそばでキヨはピアノを弾いていた。
「あはは。キヨ、下手くそ」
「うるさいなぁ!!私、音楽苦手なんだもん。…勉強もダメだけど。そう考えると私って何の取り柄もないね」
「キヨには人を癒やすパワーという取り柄があるじゃん」
ケンは貯金箱にお金をしまうと、キヨの隣りに座ってピアノを弾き始めた。
「…?何の曲?」
「俺が勝手に作った曲♪」
「ケン、曲作れるの!?」
「何となくだから下手だけどね」
ケンが優しく奏でる旋律が心地良いキヨは、段々と眠気に襲われピアノの椅子から落ちた。
「いぎゃぁぁ!!痛ーいっ!!!!」
「わわっ!!大丈夫?」
ケンはピアノの蓋を閉めると椅子から降り、キヨの頭を撫でた。
「…歌?」
「忘れちゃった?」
キヨはある思い出を思い出した。
それは確か、小学5年か6年生くらいの頃。
昔から頭は弱いクセに、音楽だけはズバ抜けて出来るケンは絶対音感があり、どんな曲でも一回聴けば楽譜を見ないでもピアノで弾けてしまう。
その日もキヨの家でケンはピアノを弾いていた。
「わぁ、ケン。凄い上手」
「でしょでしょ♪でも俺、ピアノじゃなくてギターが弾きたいな」
「ギター?持ってないの?」
「うん。親は勉強しろの一点張りでピアノさえ買ってくれないし、お小遣いも全然足りないからね」
キヨはしょんぼりするケンに、自分の貯金箱を持ってくると振って中身を落とした。
キヨの全財産は500円ちょっと。
まだ小学生のキヨ達のお小遣いなど、かき集めてもギター一本買えない。
「ごめんね、ケン。足しにもならないや」
「大丈夫。ありがとうキヨ。俺、頑張って貯めるから」
それからケンは、漫画やCDなど欲しい物を我慢してコツコツとお小遣いを貯め始めた。
中学生になったある日。
貯金箱の中身を数えているケンのそばでキヨはピアノを弾いていた。
「あはは。キヨ、下手くそ」
「うるさいなぁ!!私、音楽苦手なんだもん。…勉強もダメだけど。そう考えると私って何の取り柄もないね」
「キヨには人を癒やすパワーという取り柄があるじゃん」
ケンは貯金箱にお金をしまうと、キヨの隣りに座ってピアノを弾き始めた。
「…?何の曲?」
「俺が勝手に作った曲♪」
「ケン、曲作れるの!?」
「何となくだから下手だけどね」
ケンが優しく奏でる旋律が心地良いキヨは、段々と眠気に襲われピアノの椅子から落ちた。
「いぎゃぁぁ!!痛ーいっ!!!!」
「わわっ!!大丈夫?」
ケンはピアノの蓋を閉めると椅子から降り、キヨの頭を撫でた。

