続・祈りのいらない世界で

「そうでもねぇぞ。ガキの頃と違って決めポーズや決めセリフは言えやしねぇけど、俺はずっと美月のヒーローでいるよ」


「私はずっとイノリのヒロインでいられるの?」


「あぁ。ガキの美月も今の美月もヨボヨボになった美月も、ずっと俺のヒロインだ」




大人になって“遊び”の内容が変わっても

一緒に楽しむ人は変わらない。



それは凄く奇跡に近い素敵な事なのだとキヨは思った。





「俺はガキの頃、いつか美月と離れる日が来るかもしれないと思ってた。
でも例え離れたとしても、こうやってまた美月の隣りに戻ってくるんだろうなって思えたんだよ。
…何でかわかるか?」


「わかんない」


「世界で1番泣き虫なお前を忘れるなんて俺には出来ないって事だよ、泣き虫さん」



イノリはそう言うと、キヨにそっとキスをした。





悩んで迷って苦しくて

それから解放されたくて繋いでいた手を離したキヨとイノリ。


でも今こうしてまた隣りにいる。




もしかしたら人は

小さい頃に強く愛したものを手放す事なんて出来ないのかもしれない。






また1つ大切なことを知った2人を、生まれた時から変わらず見守り続けてくれた月と星達


そしてカゼが

優しく見つめていた。