続・祈りのいらない世界で

「俺の名前はイノリライダーだ!!キヨ姫は返してもらうぞ。トリャっ!!」

「ぎゃあ!!」



ポカスカと叩き合ってるイノリとケン。




ケンとの決着がついたイノリがキヨを見ると、何故か国民Aに抱きかかえられ、国民Bに祝福されている姫がいた。



「イノリライダーありがとう。私、国民Aと結婚します」

「………幸せにします」

「めでたし、めでたし。って事で今度はおままごとしましょうか」



キヨとカゼとカンナにて勝手に完結されたヒーローごっこ。


3人は呆然とするイノリとケンを気にする事なくおままごとを始めた。




「待て。こんなオチなのか!?」

「国民Aという脇役に美味しいとこ全部持ってかれちゃったね」



ヒーロー番組ではありえない終わり方をした5人のヒーローごっこ。


マントのビニールが風に吹かれ、カサッと虚しく音を立てた。









「あははは!!確かにいっつも脇役のはずのカゼに美味しいとこ持ってかれてたね」

「笑い事じゃねぇよ。子ども心に傷付いたぞ、あれは」

「いいじゃん。イノリはごっこ以外でも私のヒーローなんだから」




あの頃、毎日のように遊んでいたヒーローごっこやおままごとは、いつの間にやらなくなったのだろう。



ヒーローごっこをする前は、三輪車や足こぎ車を並んで漕いでいて


ヒーローごっこを辞めた後は、鬼ごっこになり、縄跳びになり…



道路に落書きしたり

河原で水かけっこしたり

公園の砂場で山を作ったり



でも中学生や高校生になると、そんな遊びはまるっきりやらなくなった気がする。




大人になるって、子どもの遊びをつまらなく感じることでもあるのかな?




「私達がいくつ歳を取っても小さい頃から変わらずしてる遊びって、土手に寝転がって星を眺めることくらいだね」


「それって遊びじゃなくね?…まぁ大の大人がヒーローごっこやったり、おままごとしてたら不審な目で見られるからな」


「大人ってつまんないね」




俯くキヨにイノリは優しく呟いた。