続・祈りのいらない世界で

数日後。
キヨは昼食の支度をしていた。


カンナはカゼのお墓参りに行く為、リビングで地元に帰る支度をしている。




「キヨ、ショートにして大人っぽくなったわね」


「ずっとロングだったから見慣れないだけだよ」


「ううん、大人っぽくなった。見た目もだけど雰囲気もね。ケンが髪短いキヨ可愛い〜♪って騒いでたわよ」


「…私、ロングの方が女の子らしいかなって思って、女の子らしくしていればいつかイノリが恋愛対象に見てくれる気がして、だから伸ばしてたんだけど、イノリがテレビ見ながらショートの女の子可愛いって呟いたからさぁ」



キヨは寒くなった首元をさする。




「キヨはイノリの為に必死なのね。でも大丈夫よ。イノリはキヨという存在が好きなんだから、変わらなくても」

「ありがとう、カンナ」




キヨは冷蔵庫を漁りながら、自分１人分の食料を探す。



カンナがフウに日焼け止めを塗っていると、珍しく家にいるケンがリビングにやってきた。



「カンナ準備出来たぁ？そろそろ行くよ」


「ケンが家にいるの珍しいね。昼は仕事、夜はバンドで滅多に家にいないのに」


「たまにはカゼに会いに行ってやらないとだからね。…ってキヨ、本当にショート可愛い♪キヨは段々綺麗になっていくよな。本当イノリには勿体無い!!」


「はいはい、ケンはいい加減諦めなさいよ。２人は夫婦なのよ？」



カンナの言葉に胸を刺されたケンは、フウを抱き上げ玄関に向かった。




「それじゃあ行ってくるわね。明日には帰ってくるから。イノリ帰ってくるまで留守番よろしくね」


「はーい。気を付けていってらっしゃい」