続・祈りのいらない世界で

「相手はもちろん北山くんだよね?」

「そうだけど、もちろんって何?」



友人は手を繋いでいるキヨとイノリに微笑みかけた。




「2人が結婚する事なんて高校の時からわかりきってた事だよ」


「…私は全然、想像つかなかったよ。一生片思いなんだって思ってたから」


「よかったじゃない、美月。北山くんみたいな男前の旦那様ゲット出来て。…北山くんが旦那様なら心配いらないね。北山くんはしっかりしてるし、美月の世話するの手慣れてるから」


「私だってもう大人だもん!」



キヨがクラスメイトの女の子と話していると、1人のクラスメイトがある事に気がついた。




「…ねぇ倉木くんは?てっきり5人で来るものだと思ってたんだけど」



クラスメイトの言葉にキヨ達は俯いた。

クラスメイト達は首を傾げる。



どうやら誰もカゼの事を知らないらしい。



「…あのね、カゼは2年前に…」

「カゼは都合が合わなくて来れないんだよ。今日、来たがってたんだけどな」

「え?イノリ?」



キヨの言葉を遮って話すイノリ。

カンナとケンも驚いている。



「えーっ!!倉木くん来ないの?ショック〜」

「大人になった倉木くん更にカッコよくなってるんだろうなって楽しみにしてたのに〜」



カゼが欠席だと知った女子達は嘆く。


その嘆きを聞きながらキヨがイノリの顔を見上げると、イノリは小さく頷いた。