「…でもねフウ。1人でお外に出ちゃダメよ?フウは可愛いから誘拐されちゃうかもしれない。そしたらキヨ、エーンって泣いちゃうよ?」


「……えんえん、ないない」


「お外行く時は必ずキヨと一緒にね。約束守れるかな?…フウ、げんまんは?」


「……げんまん」



フウの癒やしパワーで元気が回復したキヨはフウにスモックを着せると、穴だらけの庭の掃除を始めた。



秋風が心地良く吹き抜けていく。




「フウ、土食べちゃダメよ」

「……ぱっぱは?」

「葉っぱもダメ。お腹いたいいたいになっちゃうよ」



キヨの言葉を理解したのかいないのか、フウは庭をヨチヨチと駆け回りながら土や雑草を掴んでは投げて遊んでいる。




「あーっ!!フウ、何でそんなに泥まみれなの!?何したのよ」

「……きよ、しゅちー」



どうやらフウは、『しゅち(好き)』と言えば怒られないと悟ったらしい。


もちろんキヨも、フウの可愛さには勝てない。





「よし。じゃあ一緒にお風呂入ろうか。キレイキレイしようね」

「……ちゃぷちゃぷ」

「そう、ちゃぷちゃぷね」




気付くと頭痛を忘れていたキヨ。


手の掛かるフウだが、癒やしてくれるのもフウなのだとキヨは気付いた。