続・祈りのいらない世界で

「ごめんね、イノリ…。でも私だってイノリが先に死ぬの嫌だよ。どうかイノリと寿命が一緒でありますように」


「…それは無理だ。お前のせいで何年寿命縮んだと思ってんだよ」


「うぅっ…。ごめんなさい」



キヨの叶うのは難しいであろう願いを聞いたイノリは、袖で涙を拭うとキヨの額に額をくっつけた。




「…美月、好きだ」

「えっ!?何いきなり」

「言える時に言わなくていつ言うんだよ」

「じゃあ私も好き」

「じゃあは余計だろ。ちゃんと言えよ」




キヨが真っ赤になって首を横に振ると、イノリはキヨの顔を無理矢理正面に向かせた。




「照れんな。ちゃんと言え。…ほら」

「もう!イノリは強引なんだから!!……でもそんなイノリが大好きだよ」

「よく出来ました」



イノリは優しく微笑むと、キヨの手を握ってキスを落とした。





「でも本当、私はいつまで経ってもみんなに迷惑掛けてばっかりだね。もうすぐママになるのに」


「お前は本当に俺がいないとダメだな。…でもガキの頃みてぇに四六時中一緒にいてはやれねぇんだから、もう少ししっかりしてくれ。せめて…怪我だけはしないくらいにな」


「イノリを泣かせないくらいにはの間違いじゃなくて?」


「うっせぇな!!泣いてねぇよ!!」



キヨとイノリが騒いでいると、病室のドアがゆっくり開いた。




「あれ、フウ?1人で戻ってきたの?」



2人がドアを見ると小さなフウが立っていた。

フウはジッと2人を見る。