続・祈りのいらない世界で

「イノリ違うの!カンナは引き留めてくれたのに、私が断ったのよ!!久しぶりにカンナがフウといられる時間だもん。フウと一緒にいて欲しかったの!…だからカンナは悪くない。カンナに怒らないで!!!!」



「…美月、お前俺との約束破ったのか?」


「破った。私が自ら買い物に行った」



キヨが涙目でイノリを睨み付けると、イノリはキヨの頬を叩いた。




「やめろイノリ!!怒る気持ちもわかるけど、キヨの優しさがした事なんだから、キヨを責めるなよ」


「バカか!!優しいから死にました、じゃ済まねぇんだよ!!!!かすり傷で済んだだと?だから何だよ。怪我は怪我じゃねぇか!!何で…お前はっ………」




イノリは歯を食いしばり眉を寄せると、片手で目を隠した。




「…イノリ。泣かないで」

「…っ泣いてねぇし…」

「もう、強がりだなぁ。イノリが弱い事くらい知ってるのに」



薄く笑うキヨをイノリは抱き締めた。


ケンとカンナはフウを抱き上げると、静かに病室から出て行った。




「…カゼの真似をするな、バカ。カゼの通夜の後、お前に言っただろ。お前は突然消えたりすんなって。…それまで破るつもりかよ。マジやめてくれ…美月だけは俺より先に死なないでくれよ。

……嫌だ。お前の…カゼみたいに動かない姿や骨になる所は見たくない。甘えない泣かない…冷たくなったお前には触りたくない。

…俺の名前を呼ばない美月なんかに…会いたくない!!!!」



イノリはそう言うと声を漏らして泣き始めた。




イノリの涙を見たキヨは、自分の軽率な行動のせいでカンナやケン、そしてイノリを悲しませた事に罪悪感を感じた。