続・祈りのいらない世界で

病院に着き、検査を受けたキヨが緊急用の病室のベッドに座っていると


カンナがフウを抱きかかえて駆け込んできた。




「キヨ!!事故ったって…大丈夫なの!?」

「カンナ、どうしてここが?」

「接触した車の運転手から連絡をもらったのよ。…だから私が買い物行くって言ったのに…キヨのバカっ」



カンナはフウをベッドに降ろすとキヨをキツく抱き締めた。

カンナは小さく震えている。




「泣かないでカンナ。私、足擦りむいただけだしお腹の赤ちゃんも無事だったよ?」


「…私、嫌よ。大切な人がいなくなるのはもう嫌。……キヨはカゼみたくいなくなったりしないで」



キヨは自分が起こした事故のせいで、カンナに悪夢を思い出させてしまった事に酷く後悔した。




「…ごめんね。でもきっと、私がかすり傷だけで済んだのはカゼが守ってくれたんだと思う。…イノリやケン、そしてカンナを悲しませない為に」



キヨが優しくカンナの背中をさすっていると、キヨの横に座っているフウがキヨの服を引っ張った。




「ん?どうしたのフウ」

「……きよ。いたいいたい?」

「うん。あんよ痛い痛いしちゃった。でも大丈夫だよ」



キヨがフウに笑みを向けると、フウはガーゼの貼られたキヨの膝をさすった。




「……ないない。きよ、いたいいたい、ないない」

「あーっ♪フウ可愛いっ!!何でそんなに可愛いの」




感極まったキヨがフウを抱き締めると、フウは嬉しそうな声をあげる。


その微笑ましい2人を見たカンナは、涙を拭うと優しく微笑んだ。