続・祈りのいらない世界で

「…そんなの優しさじゃない。望まない一方的な優しさなんて優しさなんかじゃないよ!!…少しでも私に優しくする気があるなら、離れて行ったりしないで!!」




キヨに犯した過ちを話したら

お前の為に仕方なく華月と関係を持ったなんて偽善者ぶった事を言ったら

お前の事だから許してくれるかな?



それとも泣いて泣いて、俺を責め立てるかな?




俺は後者であって欲しい。
優しくされたって辛いだけだ。





「…ねぇイノリ?土手で星見たり河原で水掛けっこしたり、田んぼで泥んこ投げしたりした時、いつも隣りに私がいたでしょ?
…ここまでもうこんなに一緒に歩いてきたんだよ」



月に照らされて青白く浮かぶキヨの瞳は、星屑のように儚く輝いている。




「っ…。これからも…いたいっ…!!イノリの隣りにいたいよ…」



声にならない声をあげて泣き出すキヨを見たイノリは、爪が食い込む程に拳を握り締めた後、キヨを抱きしめた。




「…ごめん、ごめんなキヨ」

「何処にも行っちゃやだ…。イノリだけはいなくならないで」

「…あぁ、いなくならない」




俺はこれでよかったんだろうか。


キヨが泣こうが喚こうが、ほったらかしにして離れて行った方がよかったんじゃないのか?



でも無理だ。



泣いてるキヨをほったらかすなんて出来ない。


なんで俺はここまでキヨに弱いんだろう。







その後、元の関係に戻った5人。


しかしイノリは犯した罪の罰を受けてしまった。


華月の妊娠。



妊娠を知ったイノリは、再びキヨから離れようと思ったが、特別な事は何も望まないから、ただそばにいる事にした。