続・祈りのいらない世界で

それからもイノリは5人でいる事をなるべく避け、1人で行動するようになっていた。



「本当に最近、イノリどうしたんだろうね」



カンナとケンが委員会活動で不在の中、キヨはカゼと教室のロッカーの上に座って話していた。




「何かあったのかな?なんで何も話してくれないのかな…」



悲しそうに俯くキヨの頭を撫でるカゼ。




「………キヨ。キヨはイノリがキヨの知らない所で何をしてても、誰といても、好きでいられる?」


「何?いきなり。…カゼ、何か知ってるの?」


「………ううん。例えばの話」



カゼはキヨと目は合わせずに呟いた。




「そうだなぁ…。例えイノリが犯罪を犯してても、不倫とかしててもきっと好きでいるよ。逆にどうしたら諦められるのか教えて欲しいくらいだもん」



キヨの言葉を聞いたカゼはイノリと華月の事を話そうと思ったが、口をつぐんだ。



あれは自分の早とちりであって、ただ一緒にいただけで特に何もないのかもしれないし、そうであって欲しかった。


だから口にしなかった。





「今日家に帰ったらイノリの所行ってみるよ。このままじゃ嫌だし、悩みがあるのなら1人で抱え込んで欲しくない」

「………俺も行こうか?」

「ううん、大丈夫だよ。みんなで行ったら言えるものも言えなくなるかもしれないからさ」

「………そっか。じゃあキヨに任せた」




その後キヨは、荷物を整理してカゼと共に家へと帰宅するとイノリの家を訪れた。