続・祈りのいらない世界で

過ちと後悔。

過ぎ去ったこの2つの気持ちは決して拭えない。



拭えずにいつまでも心に住みつく感情は、容赦なく己を責め立てる。





「イノリ、今日はカンナがケーキ作るって。早く行かなきゃカゼに全部食べられちゃうよ」



中学校生活も残りわずかになった5人。


今日もいつもと変わらずイノリを誘いに来たキヨ。




「…悪い。俺、ちょっと用があっから先に行っててくれ」

「そっか。わかった」



最近イノリの様子がおかしい。


誰が見てもわかる程キヨを避け、1人でいたがる。




イノリにどうしたのかと聞いても何もないとしか言わない為、キヨは何も出来なかった。




「キヨ、イノリは?」

「今日も用があるって」



カンナの部屋に入ったキヨは、既に部屋でくつろいでいるケンに呟いた。




「何なんだよ、最近付き合い悪くなったなイノリ」

「…私が嫌われるような事、何かしちゃったのかな?」

「まさか。イノリは何があってもキヨを嫌ったりしないよ。それにキヨは人に嫌われるような事をしたりしない」



ケンが俯くキヨの頭を撫でていると、ケーキを持ったカンナがやってきた。