続・祈りのいらない世界で

「………幼なじみ。よく俺が話すだろカンナ、イノリ、キヨ、ケンの事。……カンナ、こちらはイトコの美咲さん。俺らより5歳年上で兄貴とタメの高校3年生」


「あっ、はじめまして。黒花かんなです」


「はじめまして。倉木美咲です。風がお世話になってます」



美咲はカンナに頭を下げると、2人に手を振ってカゼの家を後にした。




「…カゼ、いいの?美咲さんといなくて」

「………うん。美咲さんは兄貴に会いに来てただけだから」

「お兄さんに?…あぁ、同い年だから仲がいいのか」



カンナがカゼを見ると、カゼはまだ美咲が去って行った方を見つめている。




「…カゼは、美咲さんが好きなのね。…凄く想ってるのがよくわかる」

「………好きじゃないよ。彼女はイトコであって高校卒業したら俺の義姉になるだけだ」

「義姉?義理のお姉さんになるの?」

「………うん。兄貴と結婚するからね」



カゼはどことなく悲しそうな表情をしている。


そんなカゼの横顔をカンナが見つめていると、カゼが呟いた。




「………今日も麻雀するの?」

「そうみたいよ。ゲームが好きなイノリと勝負事が好きなケンがハマっちゃったからね」

「………中学生で麻雀する人なんて滅多にいないよ」

「大人になって賭事としてハマらなきゃいいんだけど」




カゼとカンナはそんな話をしながらイノリの家へと向かった。




カンナが初めて美咲に会った日、カゼはカンナに嘘をついた。



カンナが次に美咲に会うのは、9年後のカゼの命日。