続・祈りのいらない世界で

「…誰かしら。あの人」



ある日カンナがカゼの家に行くと、玄関の前でカゼと高校の制服を着た見知らぬ女子高生が一緒にいた。



カンナが影から2人を見つめていると、女子高生を見るカゼの瞳が見たこともない程に優しく揺れている事に気が付いた。



愛しさや切なさが込められた瞳。
いつも自分がカゼを見つめている瞳。



この世の何よりも愛してるのに、届かない想い。



そんな想いを秘めた瞳だった。




カンナは女子高生を見つめるカゼに、自分が重なって見えた。


カゼが浮かべる優しい笑みは、自分やキヨに向ける笑顔と違う。




そう思ったカンナは、あの女子高生がカゼにとってどういった存在なのか気付いてしまった。




「カゼっ…」



優しくて切ない、自分には見せて貰えないカゼの表情が悔しくて、カンナはカゼに駆け寄った。




「………カンナ?どうしたの?」

「迎えに来たのよ。今日はイノリの家で麻雀するって言ったじゃない」

「風、彼女?」



2人のやり取りを見た女子高生が問うと、カゼは口を開いた。