続・祈りのいらない世界で

「………キヨに尻尾ついてたら間違いなくイノリの横でずっと振ってるね。振りすぎて千切れちゃうかも」


「確かにキヨは犬っぽいよね♪忠実で甘ったれで人懐っこいとこが。…飼い慣らしてるのがイノリっていうのが納得いかないけど。

イノリは俺様だからライオンで、カゼは気ままだから猫で、カンナは女王様…じゃなかったから色気があるからヒョウね。…ありゃ、みんな猫科の動物だ」


「じゃあヘタレで小心者のケンはネズミね」



どうでもいい話で盛り上がる3人を見てイノリは溜め息をついた。




「…キヨは犬じゃねぇよ。犬なら首輪で繋げておく。…犬ならよかったのにな」

「イノリはやっぱりSなんだね」

「………イノリは独占欲が人より少し強いだけだよ」

「そうね。それに男はケンみたいな女々しいMよりはSの方がいいんじゃないかしら?」

「俺Mじゃないし!!」



再びどうでもいい話で盛り上がる4人。




キヨがもし犬だったのなら
俺にしか尻尾を振らないように
俺しか見ないように

しっかりとしつけてやるのに…




イノリの歪んだ感情はこの頃、もう既に芽生えていた。