夜になってキヨが家に帰ると、キヨの家の前にイノリ達が座り込んでいた。


4人は寝ている。




「…?なんで私の家の前で寝てるの?」



キヨはまじまじと4人を眺めるのが久しぶりな気がした。


ここの所、哲也の所ばかり行っていて学校以外で4人といる事がなかった。




「そっか…。みんな、私を待っててくれたんだね。ごめんねイノリ、カンナ、カゼ、ケン。4人が一番大切なのにね」



キヨはあぐらを掻いて眠っているイノリの足の間に座ると、4人の顔をもう一度眺めた。


大事な家族達。




足の上に重みを感じたイノリが目を覚ますと、イノリの寝癖を触っているキヨと目が合った。



「うわっ!!キヨ!?お前…何でいんだよ!?」

「何でって、ここ私んちだからね」

「そうか。…そうだよな」



イノリは頭を掻くと、自分の足の上で楽しそうに鼻歌を唄って揺れているキヨを見た。




「…なぁキヨ。お前は哲兄が好きなのか?」

「てっちゃん?うん、好きだよ」



キヨの言葉を聞いたイノリがいきなり立ち上がると、その反動でキヨは尻餅をついた。




「いたた…。何よ、いきなり」



キヨがイノリを見ると、イノリは怒っているような悲しそうな表情を浮かべている。


何とも言えないイノリの顔が痛くて、キヨはイノリの服の裾を掴んだ。




「イノリ?何で泣きそうなの?」

「うっせぇ!!離せっ!!」



イノリに突き飛ばされたキヨはコンクリートに強く叩きつけられた。


2人の言い争う声にカンナ、カゼ、ケンの3人は目を覚ます。




「ちょっと…イノリ!?あんた何してんのよ!?」

「………キヨ?」



4人がキヨを見ると、キヨはお腹を押さえてうずくまっていた。




「キヨ!?どうしたの?どっか打った?」

「痛い…。カンナっ…お腹痛いっ!!」



キヨは地面に顔をつけながら悲痛の声をあげる。



4人がキヨのそばに屈みながらオロオロしていると、5人のもとに哲也がやってきた。