続・祈りのいらない世界で

「とにかく食べてね、祈」



女の子達はチョコをイノリの机に置くと、教室から出て行った。



「結局貰ったじゃん、イノリ」

「いらねぇからケンにやる」

「いるか!本当に俺様だな、イノリは」



イノリとカゼにいつ渡そうか悩みながらも、他の女の子がチョコを渡すのを分が悪そうに眺めているキヨとカンナ。



家に帰ってから渡せばいいものの、キヨとカンナはムードのある学校で渡したいと思っていた。




「…悩んでいる内に放課後になっちゃったね。カンナ、早く渡さないとカゼ部活行っちゃうよ?」


「もうこの際、帰ってから渡すわ。私も部活あるし。キヨはどうするの?」


「私はどうせイノリが部活終わるの待ってなきゃだし、イノリが部活終わったら渡すよ」


「わかったわ。また夜に報告しに行くわね」



キヨは部活に行くカンナに手を振ると教室で1人、自習という名のお絵かきを始めた。



成績が悪く部活を辞めろと親に言われたキヨは、部活は辞めたが結局はイノリを待っているので、帰りは遅い。

親には学校で自習をしていると言っている。




「♪〜丸描いて斜めにおめめを描いたなら〜モシャモシャ焼きそばを頭に乗せます〜あーっという間にイノリの出来上がりっ♪」



キヨはイノリの絵描き唄を歌いながら、ノートに落書きしていた。