続・祈りのいらない世界で

「おかえり。あんた達何処まで行ってたのよ?こんな時間まで」


「奈良に連れて行かれそうになったけど、結局京都の田舎道を散歩してたんだよ」


「奈良!?イノリは何を考えてるのかしら。…まぁキヨが幸せそうだからいいんだけど」



カンナはキヨを見て微笑むと、布団から手を伸ばした。



「一緒に寝よう、キヨ。おいで」

「キャーッ♪カンナ大好きっ」



2人は布団に潜るとイノリの事、カゼの事、今日の出来事などを夜が明けるのにも気付かず、話し込んでいた。




色々な感情をまた1つ学んだ、高校の修学旅行。





「帰りどっか寄って帰る?」



帰りの新幹線の中、5人は席を向かい合わせにして話していた。




「ゲーセン行こうぜ」

「俺、カラオケがいい♪」



イノリとケンがゲームセンターかカラオケかでもめていると、カゼが呟いた。




「………スーパーの試食コーナーは?」

「却下だ!んな所行くか!!」



イノリに否定されたカゼは、少しふてくされながら八ツ橋を食べていた。




「カゼが食べてる八ツ橋、珍しい形してるね。普通八ツ橋って三角なのにそれ四角だし」

「………ショコラ八ツ橋。中身あんこじゃないからキヨも食べれるよ」



カゼは八ツ橋をひとつ摘みあげると、キヨの口に入れた。




「ってか、カゼは八ツ橋何箱食べてるのよ!?」

「………昨日から食べてるから何箱かな」

「5箱は余裕で食ってるぞ」



イノリの言葉を聞いたキヨとカンナは、自分が食べたワケでもないのに胃もたれをした気分になった。