続・祈りのいらない世界で

「高松塚とキトラ古墳?私、古墳なんて興味ないけど」


「そこには星座に関連したものがあんだよ。天文図に星宿だったかな」


「何それ」


「知らねー。ガイドブックに載ってたんだよ。お前星好きだろ」


「私は星が好きなんじゃなくて、みんなで見るから好きなんだよ?」


「何だそれ。俺、連れて行く意味ねぇじゃん」



イノリがガックリと肩を降ろすとキヨは笑った。




「京都だと、どこが綺麗な星見れるのかな?」

「嵐山とかって聞いた気がするけど、今から行くのか?」

「星、見たい」



キヨがボソッと呟くと、イノリは面倒くさそうに頭を掻いた。




「じゃあ歩くぞ。市街から離れればもう少し見晴らしがいい所あんだろ」

「わーい。行こう行こう♪」

「最初に行っとくけどな、京都にまで来ておんぶはしねぇからな!駄々こねんなよ」

「わかってるってば!!」




2人はバスから降りると、市街地から離れた少し田舎の場所を歩いていた。



地元と違って、降ってきそうな星空ではないが綺麗な夜空が広がっていた。