続・祈りのいらない世界で

「…うん。明日は2人でいっぱい色んな所回ろう。それで美味しい物もいっぱい食べて、いっぱい思い出作ろうね」


「そうね。2人でも十分楽しめるものね」



その日、カンナと手を繋いで眠ったキヨ。



目を閉じても涙が零れてきたけど、カンナと悲しい気持ちを分け合う事で耐えられた。




次の日。

キヨとカンナは自棄になって買い物を楽しんでいた。



修学旅行というより、遊びに来ているようになっている2人。


気付くと辺りは暗くなっていた。




「…もうこんな時間か。早く帰らなきゃ怒られるわね」

「ねぇカンナ…。イノリ達は楽しんだかな?」



時間を見て立ち上がったカンナはキヨを見る。




「楽しんだんじゃないかしら。お気楽3人組の事だからね」


「…イノリは私なんかいなくても楽しめるんだよね。…私なんか…いなくても…」


「キヨ、イノリはあなたがいなくても楽しめるし生きていける。キヨがいない時も幸せを感じる事もある。

…でもね?キヨがいたらもっと楽しめるし、生きてる事に幸せを感じられるはずよ。それはキヨも同じでしょ?」



カンナは優しく囁きながらキヨに笑みを向けた。


キヨはカンナを見てに頷くと、カンナと手を繋いで宿へと急いだ。




2人が宿に着くと、イノリとカゼが入口の前に立っていた。



「………おかえり」

「おめぇら集合時間ギリギリに帰ってくんなよ」



イノリはキヨの手を取ると、宿から出ていった。




「イノリ?キヨ連れて何処行くのよ。もう集合時間よ?先生に怒られちゃうわよ!?」

「上手く誤魔化しといてくれ」



イノリはそう言うと、キヨの手を引きながら走って行った。


カゼとカンナは2人の背中を見送る。