続・祈りのいらない世界で

「あ?何で泣いてんだよ。なんかあったのか?」


「イノリ嫌い…」


「何だよ、いきなり。俺が何したって言うんだよ」


「…だって私、明日イノリと行動したかったのに……イノリ、キヨとは行動しないって女の子に言ったもん」



啜り泣くキヨを見たイノリは、キヨの頭をポンポンと優しく叩いた。




「お前はケンといてやれよ。どうせカンナはカゼと行動すんだろ?たまには俺が外れてもいいかなって思っただけだ。お前が嫌なワケじゃないよ」


「やだやだ!私はイノリといたいの。イノリがいいの!!」


「でもほら、中学ん時は自由行動の時、俺がキヨといただろ?だから今回はケンに譲ってやるんだよ。…俺ら4人を大切に想うなら、ケンといろ。お前は冷たいヤツじゃないだろ」



イノリはそれだけ言うと食堂へと向かった。



いたたまれなくなったキヨが部屋に戻ると、既に敷かれている布団の上にカンナがうつ伏せに寝そべっていた。



「…カンナ?」



キヨが声を掛けると、カンナはゆっくり顔をあげた。


顔をうずめて泣いていたせいか、カンナの瞼は腫れている。



カンナはキヨを見ると体を起こした。




「キヨ、私カゼに酷い事言っちゃった…」

「なんで?あんなにいい感じだったのに?」

「…カゼが私を誘ったのは、イノリとキヨを2人にする為だったの。カゼに誘って貰えて私が勝手に舞い上がってただけなのに、悲しくて八つ当たりしちゃった」



キヨは悲しそうに笑うカンナを抱きしめた。


いつもカンナが自分を抱きしめてくれるみたいに、優しく。