続・祈りのいらない世界で

「何やってんのよ、このバカップルは」

「………ラブラブ」



イノリに抱きついてバタバタ足を振るキヨを見ながら、カンナとカゼが呟いた。




「怒ったり甘えたりホント忙しい奴だな」


「全部イノリがさせてるんじゃん」


「何でだよ。てか、何が変わったのか教えろ」


「もー…本当に分からないの?カンナと一緒に前髪切ったんだよ。3ミリも」


「3ミリなんて気付くか!!」


「毎日一緒にいるんだからちょっとの変化でも気付くのが普通でしょ!?」




ギャーギャー騒ぐキヨとイノリ、そしてそれを傍観するカンナとカゼがいる庭にケンがやってきた。



「やっほー♪みんな大好きケン様がお目覚めだよ。みんなでアミューズメントパーク行こうぜ」


「………みんな大好きケン様…」


「何だよ、カゼ。文句でもあんのか」


「………面倒くさいからないって事にしておく」




ケンに促された5人は自転車に乗ると、近くのアミューズメントパークに向かった。


最近出来たばかりのこの建物の中には、色んなスポーツが出来る広場やゲームセンターが入っている。



「バレーしよ、バレー」

「バスケだろ」

「俺、あっちのゲーセンで遊びたい」

「ケン、ゲームセンターなら何処にでもあるでしょ。バドミントンしましょ」

「………フットサル」




5人の意見が合わないのはいつものこと。