続・祈りのいらない世界で

「何をそんなに怒ってんだ?」

「………多分、生理中。女の子は難しい」



機嫌が悪い女子イコール生理にしてしまうカゼ。


決してキヨとカンナは生理中ではない。




「ねぇキヨ。キヨはイノリの何が好き?」

「…全部嫌い」

「ふーん。そっか。全部好きなのね」



キヨは赤くなってブンブンと顔を横に振ると、カンナの肩に頭を乗せた。




「…私ね、イノリが私以外の誰かを好きなら、失恋しちゃえばいいのに…とか酷いこと考えちゃうんだ」


「あはは。それは私も同じよ」


「おかしいよね。イノリに幸せになって欲しいってちゃんと想ってるのに、気付けば自分の幸せまで考えてる…」




愛する人の幸せを願うのと同じだけ、自分の幸せも望んでしまうのは

愛する人を幸せにしたいのは自分だから。





「キヨは大丈夫よ。イノリはキヨしか見てないって分かるもの」

「カゼも何だかんだでカンナといたがるし、カンナの事見てる気がするよ」



根拠なんてないのに両思い前提の典型的な乙女の恋バナをする2人。




「キヨ、分かったぞ!お前、デコにニキビ出来たんだろ?」



すっかり昨日と何が変わったのかという質問をした事を忘れていたキヨの元にイノリがきた。




「違うよ!これニキビじゃなくて蚊に刺されたのをかきむしった跡だし」

「えー…。じゃあ…」



ジッとキヨを見るイノリをキヨも見つめた。


イノリの顔を見つめるのに堪えられなくなったキヨは、一瞬体を縮こませるとイノリに抱きつく。




「もーっ!!」


(大好きだ、バカヤロー!)と、キヨは心の中で叫んだ。