続・祈りのいらない世界で

「ねぇイノリ、私見て何か気付かない?」

「あ?何だよ、いきなり」



高校時代のある休日。


カゼの家の縁側に座っていたイノリとカゼの元へキヨとカンナがやって来た。



キヨはイノリの前に立つとニコニコしながら問いかける。




「昨日とは何か違うでしょ?」

「いや、何も変わってねぇけど」

「失礼ね!思いっきり変わったもん!!」



イノリはキヨを凝視すると、ポンと手のひらを叩いた。



「わかった!!太ったろ?」



キヨはイノリの頭をグーで殴ると庭の隅に丸まった。




「イノリは駄目ね。何年キヨと一緒にいると思ってるのよ」


「十何年も一緒にいっから分かんねぇ事もあるんだよ」


「………イノリ、それは屁理屈って言うんだよ」


「カゼは黙れ!!」



イノリの横で黙々とお菓子を食べているカゼ。

そんなカゼをカンナはチラッと見た。



「カゼは分かるわよね?私も昨日と変わった所あるんだけど」

「………うん。化粧が濃くなった」



カンナはカゼが手に持っていたお菓子を取り上げると、庭をほじくっていじけているキヨの横に屈んだ。




「ウチの男共は本当に情けないわね。いっつも一緒にいるのにちょっとの変化にも気付かないなんて」


「イノリは私に興味ないから気付かないんだよ…」



イジイジと土をいじっているキヨ。


すると縁側から笑い声が聞こえてきた。




「バカ男2人がバカ笑いしてる」

「何がそんなに楽しいのかしらね」



笑っているイノリとカゼを見つめるキヨとカンナ。