続・祈りのいらない世界で

お風呂でイノリが頭を洗っていると、いきなりドアが開いた。



「イノリ、背中洗ってあげよっか?」

「は!?お前っ…入ってくんじゃねぇよ!!出ていけ!」

「照れなくていいのに。前見なきゃ大丈夫でしょ?」

「そういう問題じゃない!!いいから早く出ていけ、バカ!!」



真っ赤になって怒るイノリに笑うキヨだが、中々出て行こうとしない。



「…あんま俺をおちょくると犯すぞ?」

「はいはい。出て行きますよ。…犯す度胸なんかないクセに。なんだかんだでイノリは優しいからね」



キヨはニシシっと笑うと浴室から出て行った。





「…あー…ドキドキしたぁ〜。イノリ、あんなに体がっしりしてたんだなぁ…」



キヨはリビングに戻ると火照る顔と早まる胸の鼓動を手でおさえた。




普段は気にとめないが、イノリはちゃんと男性になっている。



背が高く逞しい体つきのイノリ。
イノリ程ではないが背が高く細いカゼ。
男にしては背が低い、ガリガリでひょろっとしているケン。


3人の男の中でイノリが1番男を感じさせる。




だから好きなワケではないけど、好きなイノリが男に見えて仕方なくて…



強く抱き締めて欲しい
強く……愛して欲しい


そんな感情が込み上げてくる。




私だって思春期の女だ。
性欲くらい湧く。


でもイノリじゃなきゃ嫌だ。



イノリなら
何をされても幸せだと思えるから…





高校生になり、性に感心を持つようになったキヨは最近、内から込み上げてくる欲望を感じるようになっていた。