続・祈りのいらない世界で

「あーもう!仕方ねぇな。今日だけだからな!?」


「わーい♪」


「ったく…。お子様な幼なじみがいると苦労するぜ。疲れてんのによ。お前、詫びに飯作れよな」


「わかったぁ。ご飯も1人だから寂しかったんだよね」



そのまま2人はキヨの家に入り、キヨは浴室へ、イノリは浴室のドアの前に座っていた。




「イノリいるー?」

「ちゃんといるから早くしろ!!腹減ってんだよ」

「もう怒りんぼ!」



シャワーの音とシャンプーの匂いがする脱衣所。


たった一枚の壁の浴室のドアを開けてしまえば、そこには無防備なキヨがいる。



年頃のイノリには、たったそれだけの事に相当な我慢をしなくては理性が保てなかった。



そんな葛藤とイノリが闘っていることなど知る由もないキヨは、呑気に歌を唄っている。



「♪〜5粒のあんこが飛び出して〜♪」


「よく覚えてたなその歌。お前、ガキの頃よく唄ってたよな」


「今日帰りにケンが唄ってたんだよ。私もビックリしちゃった」


「ところでケンはどうしたんだよ?1人で帰ったのか?」


「あっ!忘れてた!!イノリ、ケンに電話してみてくれない?」



イノリは面倒くさそうにケンに電話をかけた。

ケンはすぐに電話に出る。




「もっしー♪イノリおかえり。どうした?」

「いや、キヨが電話しろって言うから」

「あっ、俺キヨの荷物持って帰って来ちゃったんだよね。今持って行けばいい?」

「あー…あとで一緒に取りに行くわ。カゼ達の顔も見てぇし」



ケンとイノリが話していると突然、浴室から悲鳴が聞こえた。