「うん♪嬉しい。ありがとう。でも何でプレゼント買おうと思ったの?」

「…お前、自分の誕生日忘れたのか?」



イノリの言葉を聞いたキヨは目を丸くする。




「誕生日おめでとう。美月も24か。もういい歳だな。精神年齢は5歳くらいだけど」


「うるさいな!!イノリは一言多いよ!!それに私は、誕生日や記念日に疎いイノリが覚える事に驚いてるだけだもん」


「自分の嫁の誕生日を忘れる男なんかいねぇって。バカだな」



イノリはキヨから時計を取ると、キヨの腕に巻きつけた。




「沙織も美月に会いたいって言ってたぞ。沙織は用事があって結婚式に来なかったからな」


「沙織ちゃん、私の事覚えててくれたんだなぁ」


「沙織は俺は美月と結婚するんだってずっと思ってたんだとよ。あの頃、あいつが美月に対してあんな態度取ったのは、ただ構って欲しかっただけなのかもな」


「…北山の人間は素直じゃないんだね」


「うっせぇな!!」





その日、フウの名前が付け加えられたキヨが19歳の誕生日にプレゼントしてもらった表札の前で写真を撮ったキヨ、イノリ、カンナ、ケンそしてフウ。




風に揺られているこの表札に来年、もうひとつ名前が増える。


新しい家族の名前が…。