「お待たせ。しばらく誰も呼んでなかったから、すっげー散らかってるけど、ごめんね。」

「ううん。突然、入れてもらっちゃって、こっちこそゴメン。」

「いや、それは全然いいんだけど、女の子入れるの初めてだからさ。」

「え?」

「汚いままで、何か申し訳ないんだけど、とりあえず、上がって。」

「う、うん........。」


嘘、嘘、嘘!!

私が初めてだとか、そんなの絶対信じない。

みんなにそう言って、喜ばせて、何とかその気にさせてるんでしょ?


だって、どう考えても遊び慣れてるようにしか見えないし、この前だって、駅まで合コンで知り合った女の子が来て、散々、修羅場を演じたばかりじゃ.......

あっ!! あの時、そう言えば、言ってたかも。

「付き合ってもいない子に、家の場所なんて教えない」とか、何とか?


でも、じゃあ、朱美さんは?

朱美さんじゃないとしても、他の子は?

一年以上、ここに住んでるって言ってたのに、まさかねぇ.......


上がってみると、確かに隅々まできちんと片付いてるっていう感じではない。

だけど、男の人の部屋って、こんなものなんじゃないかな。

言うほど汚くはないし、むしろきれい過ぎる方が気持ち悪い。

CDが適当に積み上げてあったり、洗濯物が溜まってるあたりが程よく男の子っぽくて、逆に好感が持てる気がする。


とりあえず、パッと見た感じ、女の影はない。

まだ部屋に入ったばっかりだから油断はできないけど、ちょっとだけ安心する。


でも、たまたま今がそういう状態だっていうだけかもしれないし、気になって気になってしょうがない。

迷ったあげく、やっぱりこれだけは聞いてみる。