よっぽど愛されている自信がなかったら、一緒にいるのが辛くなることも多いはず。

常にあのノリだから、どこまで本気で言ってるのか、判断するのも難しいだろう。

そもそも、私なんかの手に負えるタイプじゃないのかもしれない。


今まで二十五年間生きて来て、彼みたいなタイプを好きになったのは初めてだ。

彼といるのは楽しいけど、普段の様子を見ているだけでは、正直、ここまで好きになることはなかった気がする。


だから、早く仲良くなって、彼がどんな人なのか知りたい。

今となっては、人懐こいチャラ男くんが素の顔だって言うなら、それはそれで構わないとすら思う。


だとすれば、それを認めた上で、イイところを見つけて、今よりもっと好きになれるかもしれない。

逆に、軽過ぎてだんだん気持ちが冷めて行く可能性もゼロじゃないけど、普通に同僚として付き合うにはイイ人だし、どちらにせよ、それで「恋してる」と思う気持ちには決着が着くだろう。


でも、彼の素顔が助けてもらった時に感じたような、うわべだけじゃない穏やかな優しさや強さに溢れた人なんだとしたら.......

これは、もう夢中になるしかないでしょう!!

近所に住んでいることをフル活用して、少しでも近付けるよう、頑張るしかない。

この出会いは運命だと信じて、ひたすら「彼女」のポジションを目指すまでだ。


「お待たせ。遅くなってごめんね。」

「おっ、お疲れ。全然、いいよ。」


着替えを済ませてロビーへ急ぐと、彼はスマホをいじって待っていた。

遠目に見た感じでは、珍しく怒っている顔をしているようにも見えて、声をかけるのを、一瞬、ためらった。