「今日からオレがお前のダチになってやる…」

えっ…⁉︎と思うようなセリフを言うと、キツネさんは自分の目をタオルで拭いました。

「棟梁はお前のことをダチだと言った…。だから、オレもダチになってやる…。ダチだと思うからこそ、おふくろの話もした……オレが今生きてる意味も教えてやった。お前はこれからも生き続けて……いつかその意味を見つけたら話す相手がいるだろー……だから……その役をオレが買って出てやる。くだらねぇ意味なら…考え直せって叱ってやる…。お前みたいに甘っちょろい生き方してるヤツに負けねぇくらい、オレは必死で生きてやる……今日からそれを、また付け加えて生きる!だから……ほら………」

差し出された右手を見つめました。
手の平には、たくさんのまめができてました。

「お前も手ぇ出せ!握手だ!」

ポカン…とする私にイライラして、キツネさんは無理矢理手を伸ばしてきました。
ギュッと力強く握られた右手の平に、ゴツゴツとしたまめの感触がぶつかりました。

「同じ生きてる者同士…接点はなくてもダチだ。お前のことをどこへ行っても祈っといてやる。絶対に忘れねぇ。だから、もう一度頑張れ!棟梁もオレも……お前のことを大事なダチとして、いつでも迎えてやっから…!」


メチャクチャな理由をつけて、「トモダチ」になってくれました。
「トモダチ」ってこんなのだったかな…と、かなり疑問に思いましたが………


「よろしく…お願いします……」

パワーに圧倒されて答えてました。
後から思い出しても、自分なりに笑える一幕でした。