そうだ、瀬ノ内君が目の前にいるんだった。
私としたことが、あまりの美味しさにテンションが上がってしまってた…。
恥ずかしい…。
顔に熱が集まる。
「ひ、人が食べてるところ…あんまり見ないでよね。食べにくいから…。」
「仕方ないだろ?こうして対面で座ってれば、伊織が視界に入るんだからさ。」
「じゃあ、目…閉じててよ。」
「それだと、俺…コーヒー飲むの大変じゃん。気にしないで食べろよ。」
気になるから言ってるのに…。
心の中で反論した。
でも…奢ってくれてるんだから、ピリピリするのも悪いか…。
私が気にしなければいい話だし。
瀬ノ内君がいないものと考えてフレンチトーストを食べよう。
そう言い聞かせて、一口サイズに切ったフレンチトーストをパクッと頬張る。
口の中いっぱいに広がる絶妙な甘さに、笑みを零さずにはいられない。
ゆっくり味わいながら食べ進めた。


