俺は、お前がいいんだよ。


直さんは黒髪だけど、目鼻立ちとかは兄弟だけあって、柏木君と似てる。


この人も学生の頃は、女の子にモテたんだろうな…。


「それにしても、陽希が女の子連れてるところなんて初めて見たよ。もしかして、彼女?」


「いっ、いいえ…違います!」


瀬ノ内君よりも先に即答した私に、直さんは目を見開いた。


「私と瀬ノ内君は、ただの同じ高校の同じ学年っていう関係です。今日は、色々あってカフェで奢ってもらうことになったので、こうして来てる次第です。」


……って、そこまで詳しく説明する必要もなかったか。


「ということらしいけど、陽希…どうなの?」


「まあ、その通りです…今は。」


「そっか、頑張れよ。」


「ありがとうございます。そうだ、注文…いいですか?」


「もちろん。」


注文を直さんに伝え始める瀬ノ内君。


一体、今の二人のやり取りは…どういう意味だったんだろう…。


特に、直さんの“頑張れよ”が理解に苦しむ。


疑問符を浮かべながら首を傾げた。