「アイツは、伊織ちゃんと一緒に居られるなら、どんな場所でも喜ぶと思うよ?」


「私…?」


「うん。陽希にとって、伊織ちゃんは…それぐらいの大切に想う存在だろうからさ。」


心臓がドクンと波打つ。


笑顔の柏木君に、顔が一気に熱を帯びた。


「さてと、そろそろ俺は教室に戻るね!ここで、ずっと伊織ちゃんと話していると、陽希の怒りを買うから。じゃあ、またね!」


「う、うん…。」


柏木君は立ち上がると、校舎の方へと帰っていってしまった。


“どんな場所でも”かぁ…。


もしもそうなら、私なりに陽希の誕生日をどんな風に過ごすか、じっくり考えよう。


まだ時間はあるし…。


木陰から零れる夏の日差しに目を細めながら、大きく息を吸い込んだ。


陽希にとって、思い出に残るような…そんな素敵な誕生日を目指して…。