俺は、お前がいいんだよ。


「………っ…」


思わず眉をしかめた私を陽希が見逃すわけがなくて…。


「由依、足…痛むのか?」


そう訊ねられた私は、コクンと頷いた。


「さっき、石を踏んでバランス崩して尻もちついたから、その時に捻っちゃったのかな…。」


苦笑いしていた、その時。


「伊織ちゃん、ちょっとごめんね?」


私の傍にやって来た柏木君は、素早くしゃがんだかと思うと、次の瞬間…私を抱きかかえた。


「えっ、柏木君!?」


突然のことにビックリして固まる。


陽希も目を見開いた。


「おい、誠!お前、何してんだよ。」


「見れば分かるだろ?伊織ちゃん、歩けそうにないから抱きかかえてんだよ。一応…養護教諭に診てもらった方がいいでしょ。」


「そうじゃなくて、なんで誠が由依を…」


「だって、陽希…濡れてんじゃん。その状態で抱きかかえたら、伊織ちゃんまで水に濡れちゃうよ?」


陽希は複雑そうな表情を浮かべながら、頭をクシャクシャと掻いた。