俺は、お前がいいんだよ。


「私、陽希と別れたくないし別れないから、今後は……」


「伊織さんに言われなくても、もうアンタたちの傍に近付かないわよ。手に入らないものを追い求めても時間の無駄だから。」


トゲトゲしい声と冷たい視線。


肩をすくめると、栗山さんは足早に立ち去ってしまった。


「反省する気持ちは一切ない…って感じだね。俺、色んな女の子たちと接してきたけど、栗山さんみたいな表裏の激しい女子は初めてだな。」


「同感。あんな女とは二度と関わりたくねぇ。」


溜め息を零しながら、濡れた前髪をかきあげた陽希。


私の傍にしゃがむと、心配そうに顔を覗き込んだ。


「由依、本当…ごめんな。俺が、もっと…あの女に注意を払っていれば、こんな風になることもなかったのに…。」


「ううん、陽希のせいじゃないよ。悪いのは私だから…。それより、陽希…早く着替えた方がいいよ!濡れたままだと、風邪…ひいちゃう。」


「あ、ああ…。」


「そうだぞ、陽希!さっさと着替えて、キャンプファイヤーで楽しもうぜ?伊織ちゃんも!」


ニコリと笑う柏木君に小さく頷く。


ゆっくり立ち上がろうとした時、右足に痛みが走った。