俺は、お前がいいんだよ。


「あ、伊織さん!」


私に気付いた栗山さんが、少し驚いた様子で駆け寄ってくる。


あんなことを言われた後だから、なんだか話すのが気まずい。


そう思いながら、肩をすくめた。


「もう帰ったと思ってたから、ビックリしちゃった!もしかして、瀬ノ内君と帰る約束してた?」


「う、ううん…特に約束してないけど…」


ぎこちなく言葉を紡ぐ。


すると、栗山さんと一緒に歩いてきた茶髪のボブヘアの女の子が私をジッと見つめた。


「あなた、ひょっとして…瀬ノ内君の熱狂的なファン?」


「えっ!?」


思わぬ言葉に目を見開く。


固まっていると、栗山さんがクスッと笑った。


「違うよ、紘子(ヒロコ)。伊織さんはファンじゃなくて、一応…瀬ノ内君の彼女だから。」


「そうなの!?へー、瀬ノ内君って…こういう控えめな感じの子がタイプなのかぁ…。私は、亜季菜の方がお似合いな感じがするけど。」


なんだか居心地が悪い…。


冷たい視線を感じた私は、目を合わせられずに俯いた。