俺は、お前がいいんだよ。


……えっ?


呟かれた言葉に反応して栗山さんを見ると、気まずそうな表情をしている姿が目に映った。


「ごめんね、伊織さん。私、瀬ノ内君のこと…完全に好きになっちゃった…。だから、本気で頑張らせてもらうね…!」


「…………。」


ニコリと笑った栗山さんは、スタスタと空き教室の方へと歩いて行く。


私は瞬きを繰り返しながら、その場に立ち尽くしてしまった。


本気で頑張るってことは、陽希と付き合いたいってことだよね?


じゃあ、遊園地で言ってた“欲しくなっちゃった”っていうのも、陽希のことを指してたの…?


「なあ、今の月沢芸大附属の女の子、ものすごく可愛かったよな~!」


「亜季菜ちゃん…って言ってたっけ。どっかのモデルじゃないかってレベルの可愛さだったな。」


「さっき会った月沢芸大の他の女子も可愛いと思ったけど、亜季菜ちゃんが飛び抜けて可愛かった!」


隣のクラスの前の廊下。


集まっていた男の子たちから嬉しそうな話し声が聞こえてくる。


私の心臓がドクンと嫌な音をたてた。