俺は、お前がいいんだよ。


「あ、私…以前は蒼井坂に住んでたの…。今回の引っ越しで桜瀬に来たから、この辺りの土地勘とかなくて…。特に…こっちの桜瀬駅南口の方面は自宅と反対方向だから、殆ど来ないし…。」


「別に土地勘なくても、携帯電話でマップを見れるんだから、それを頼りに行けばいいだろ。俺ら急いでるから、アンタに構ってる暇ないんだよ。」


栗山さんを冷たくあしらう陽希。


私の手を引いて歩き出した時だった。


「あ、待って…伊織さん!」


呼び止められて振り向くと、栗山さんはガバッと頭を下げた。


「この前は、ごめんなさい…!」


「えっ!?」


「遊園地で会った時、山本君たちが伊織さんに色々と失礼なこと言ってたでしょ?私、止めたかったんだけど、何も言えなくて…。伊織さんが嫌な想いしてるの黙って見てるだけだったから……。」


申し訳なさそうに声を震わせる栗山さん。


私は、フルフルと首を横に振った。