「きゅ、急にどうしたの?」


驚いて瞬きを繰り返す柏木君。


突然、お願いがあるなんて言えばビックリするのも当たり前だ。


「陽希の家の場所、教えてもらえないでしょうか……。」


「えっ?」


「陽希の両親、会社の旅行で不在らしくて陽希が一人で妹さんの看病してるみたいなんだ…。だから、その…私も力になりたくて……」


勝手に家に行くのは迷惑かもしれないけど、その時はその時だ。


何もしないまま…っていうのはモヤモヤするもんね…。


柏木君は私の話を聞くと、何か少し考えた後で頷いた。


「……いいよ。」


「あ、ありがとう……。それじゃあ、マップ開くので、どの辺りか教えてもらってもいいですか…?」


スマホの地図アプリを起動させようとした時、柏木君は私の手を掴んだ。


「地図は使う必要ナシ。」


「えっ…?」


「俺が陽希の家まで道案内するから。」