あれ…?
今、誰かが私を呼んだような…。
恵理子と顔を見合わせてから振り向く。
すると、こちらに駆け寄ってくる瀬ノ内君の姿が目に映り、心臓がドキッと跳ねた。
「おはよ、由依。同じ電車だったんだな。」
「そうみたいだね。お、おはよう…。」
瀬ノ内君、私のこと…名前で呼んだよね?
ゴールデンウィークに会った時までは、“伊織”だったのに…。
驚いていると、恵理子は私と瀬ノ内君をチラチラと交互に見た。
「じゃあ、私…二人の邪魔するのは悪いから、先に行くね!」
「ちょっと、恵理子!?」
「瀬ノ内君、由依をお願いしますっ!」
ニコリと笑顔を浮かべた恵理子は、足取り軽く歩いて行ってしまった。
別に邪魔じゃないのに…。
なんか、二人だと緊張する…。
だんだん鼓動が速くなっているのを感じた。
「今の、由依の友達?」
「うん。」
「付き合い始めたこと…話した?」
「い、一応…。秘密にしても直ぐにバレるだろうと思ったので、それなら…あらかじめ話しておこうかと…。」
もしかして、喋らない方が良かったんだろうか…。


