第十章マスターの大怪我


「店どうするんですか!マスターのコーヒーがなかったら無理ですって!」

「ほんっと申し訳ない!」

 
 バイトに行くと、マスターと小野田先輩が言い争っているのが聞こえた。

「おはようございます……」

「ああ、西口さん」

「て、マスター!どうしたんですかそれ!!」


 マスターは右手にギプスをはめ、首からつっていた。

「自宅の階段転げ落ちたんだと」

「ほんとですか?!」
 えへへと笑うマスターと、難しい顔の小野田先輩。

「おはようございます……え!マスター、その腕!」

 徳永先輩だ。

「あれ?徳永くん今日、遅番じゃなかったっけ?」

「小野田に「緊急事態」ってメールもらったんで」

「ああ、僕の腕のことだよね。めんぼくない」