カフェには黒豹と王子様がいます

 立ち直れなかった。

 後悔しかなかった。

 自分を責めることしかできなかった。

 拓海に合わせる顔がなかった。

 拓海の子供を、守れなかった。

 拓海のそばにいる資格がないと思った。

 ずっと会えなかった。

 病院に来ても、会わなかった。



 退院の日、拓海は仕事だった。

 私は家に帰ることができず、ふらっと電車に乗った。

 どこか遠くへ行きたかった。

 誰もいない所に行きたかった。

 知らない場所に行きたかった。



 たどり着いたのは、田園が広がる小さな村。

 私はそこにあった小さなベンチに座り、ぼんやり山々を見ていた。

 ここはどこなんだろう。

 どこでもいい……。