カフェには黒豹と王子様がいます

「もう!わかったから、離して!」

 徳永さんは離さない。

「ねえ、今日子」

「いやだってば。離して!」

 徳永さんはその女の子を離してあげた。

「西口さんをたきつけたの優でしょ!」

「だって、手に入らない女がそばにいたって、辛いだけじゃないか」

「西口さんがフランスに行けるよう手配したの自分じゃない!それで、いざ行くことが決まったら、これ?」

「……うるさい」

 徳永さんの顔から笑顔が消えた。

「優!」

「うるせえ!」

 徳永さんは一言怒鳴ると、立ち上がって背中を向けた。

「香織」

「え?は、はい」

 ほんの少し顔をこっちに向けた。

「ごめん」

 と一言いうと、走って行ってしまった。