二年は短くないけれど、覚悟していたよりは待たずにすみそうだ。 大人になるまで、ギターは弾けないのかと思っていた。 そうでもないんだ。 おねえさんだって、まだ大人じゃないのに、マーティンを弾きこなしている。 おねえさんのギターは、ずいぶん使い込まれていた。 涙の形をしたピックガードにも、ボディのあちこちにも、たくさんのすり傷がある。 ギターのネックのてっぺん、飾り文字で「Martin & Co」と書かれた場所は、右から左へ走る真一文字の傷でつぶされていた。