「寒いだろ、ベル。 それを羽織りな。」 おねえさんは、ギターケースの上にたたんである布を指差した。 くすんだ青色の、ちょっとごわごわした感じの布だ。 すずは、おねえさんの顔と布を見比べた。 「借ります。」 布を広げると、象の行列が染め抜いてあった。 外国風というか、かわいくない顔をした象たちだ。 布は意外とやわらかだった。 すずは、マントのように布を体に巻きつけて、おねえさんの向かいにしゃがんだ。 あったかい。 「この季節の夜に、そんな短いスカートじゃ、寒くないわけがない。」