「ねえ、あの企画って私が任されていたはずよ?!」



「加奈子はもう専務夫人なんだぞ。次期社長夫人だ。そんな女を一社員にはしておけないだろう?」



「冗談じゃないわ! あれは私が考えた企画なのよ! それに、透とのツーショットって絶好の・・・」



「絶好の?」




加奈子はしまったと言わんばかりの顔をした。どうやら、あの企画を考えたのはなにか魂胆がありそうな感じだ。



あの時は、まだ俺との再会で加奈子はかなり俺を警戒し怒りが先にでていた。



もしかして、俺に仕返しする為に俺に恥をかかせようと思ってWebサイト専務ツーショットの企画をしたのか?



「ほら、透ってせっかくのイケメンでしょう? だったら専務なんだし次期社長の座に就いた時の為にも顔を売っておいた方がいいでしょう?」




やっぱりそうだったのか・・・・そんな予感はしていた。



あの頃の加奈子は俺を憎んでいた割には楽しそうに企画を計画していた。



そんな意図があってこれを企画したのかと思うと俺は自分が情けなくなる。



これも自業自得というものだと感じる。



しかし、加奈子にやられっ放しと言うのも癪に障る。



俺は女に左右されるのは真っ平なんだ。特に愛する女に俺の人生を左右されるのは我慢ならない。



だけど、加奈子なら特別だ。加奈子が考えなかったらあんな企画はとっくの昔に潰していたところだ。




「本当に君はお仕置きが必要な女だな」



企画のことなんてもうこの際どうでも良かった。



今、加奈子の肌に触れ温かい感触に俺の体が心を支配しようとしている。



俺にこれ以上の我慢は無理だった。



これまで愛しい女の体調が元に戻るまでと気持ちを押さえ続けてきた。



キスはしても肌に触れることはしなかった。



一日も早く元気な加奈子になって欲しかったから。



だけど、加奈子からOKのサインを貰ったら俺を止めることなんて出来やしない。



例えそれが社長命令だとしても俺は加奈子を抱きしめ一つになる。



それが、浴室であろうとも俺を止めることは出来ない。